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金持になると民主化する(2) [随想]

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金持になると民主化する(2)

金持になると民主化する(1)から

この本はNew York Times Bestsellerとしてよく売れた本である。要するにこれまで民主主義というものが宗教、国家などのさまざまな組織の中で如何に歴史的に育って来たか、或いは過去の経験からして何がそれが阻止することになっていたのか、そしてこれからの世の中がより広く開かれた民主的になって行くであろうが、一方でアメリカのような既に民主的といわれている国がこれからどのようになって行くであろうか、などなどこれまでの過去を振り返って、これからの姿を考えてみたものである。それと並んで、皆の幸福というものがどのような姿を持つものと考えられるかという問題を提起している。(以下省略)

(本文)

 中国の例を見てみると、彼らは政治形態の変化を抑えながら、経済的には開放することによって近代化を試みている。中国では1980年と2000年の間に平均個人所得は1394ドルから3976ドル、つまりほぼ3倍になっている。およそ17000万人が貧困レベルから脱出している。外国資本も年々急増しておるが、未だに工業生産の約半分は未だに国営産業によるものである。このままの方向で進めば、この国の経済は世界経済の中での位置を占めながら確実に繁栄するであろう。ただ中国のように広く、多くの種類の民族を抱える貧困な国にとっては余りに急速な民主化は却って混乱を引き起こす恐れが十分にあり、共産党政府も権力維持のためには深い注意を払う必要があるのである。然し生活程度が上がって、教育レベルが高くなるほど、当然民主化への圧力は高くなって来るであろう。情報化の加速度的発達と共に、「中国だけ」で済む話ではなくなって来るのではなかろうか。ソ連での共産主義の崩壊を思い出させる。

                                                    

 一方民主主義の典型と言われているアメリカでの問題は何であろうか。この本では第5章に Too much of a good thing、第6章に The death of authority と題して取り扱われている。アメリカなりの問題点がそのまま民主主義国での問題点になっている話である。

                    

 私事にわたって恐縮ではあるが、私たちが初めてアメリカに渡ったのは1953年であった。その頃はアメリカで見るもの聞くもの全て驚きであった。わが国ではその頃のエンゲル係数,つまり生活費の中で食費が占める割合は大体50~60%、食べるのがやっとの時代であった。アメリカに渡ってその頃、日本にはなかったスーパーマーケットで、アイスクリームでも何でも欲しいものを籠に入れて買い物が出来る感激は今の人には分からないのではないだろうか。生活レベルが優に一桁違っていた。収入が正に15倍くらいになったからである。      

     

 Taylor先生がご親切にも当時日本からアメリカに招かれる数少ない人の中でも最も恵まれた条件でお招き頂いたからで、家内と二人でcomfortableに暮らせるから来ないか、と言う暖かいお言葉であったが、その通りの生活であった。ガソリンが1ガロン20セントしない頃の月400ドルの収入であった。(私の公務員の月給が確か1万円チョットで、1ドルが420(360)円の頃である)                                    

                                     

 当時プリンストンの街の表通りのレストランには黒人は入らなかったし、安全な国で、ニューヨークにドライブしても何処にパークしても気にしないでおれた。ニューヨークの「摩天楼」も大変に印象的なものであった。日本では丸ビルの十階建てが最高であった頃である。

    

 3年の在米滞在を終えて向うで使っていた冷蔵庫を持って帰ったときは皆目を向いて驚いたものである。当時は日本では氷屋が運ぶ氷を使った冷蔵庫から漸く小さな電気式の冷蔵庫が出始めた頃であったからでもある。私の国立大学の助教授の収入で、双子の赤ん坊にアメリカ式にミルクを飲ませていたら、収入の三分の一が消えたものである。現在の日米の経済格差を考えれば正に夢のような時代であったのである。(今年が週刊新潮誌創刊の50周年というのでその特大号にたまたま出ていた。1956年では「未だ高嶺の花のテレビ」と題し、曰く、「3年前の半額になったとはいえ、サラリーマンの月給5ヶ月分」と)現在の日米の経済格差を考えれば正に夢のような時代であったのである。     次回に続く                    

                                       

 金持になると民主化する (HPへ)                 

                          


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コメント 4

yakko

お早うございます。
昔見たアメリカ映画は夢の世界でしたね〜
物のない貧しい時代からバブルの繁栄そして今・・・ いろいろな時代を生きてきました。これからどうなっていくのか不安です。
by yakko (2011-03-01 11:00) 

Silvermac

私も昭和32年(1957)米人と共に働く機会を得ましたが、彼らの生活内容は驚きを通り越して、まさに映画の中の世界でした。アイスクリームの美味しさに感動すら覚えました。
by Silvermac (2011-03-01 11:08) 

mimimomo

こんにちは^^
中国のこれからがどうなるのか、今も民主運動家たちが拘束されていますね。《確か日本やアメリカのジャーナリストなども》
心配です。
1960年代始めころ、福岡の板付け基地に英語の勉強に行くことがありました。
そのとき出てきたアイスクリームがやはり驚きでした。
アメリカ人に生まれればよかったのに~っと思ったことでした。
今は全然思いませんが^^
by mimimomo (2011-03-01 12:15) 

こうちゃん

個人的には、今の時代、軍国主義とか共産主義というのが
時代にあっているとは、あまり、思えませんが・・・
by こうちゃん (2011-03-01 17:37) 

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